(ハイアット リージェンシー 箱根 リゾート&スパ 総支配人)
北米を除く世界のハイアットホテル初の女性総支配人として、また、日本女性として初の高級外資系ホテル総支配人として、2006年、現職に就任。 業界のパイオニアとして注目を集め、以来、女性ならではの細やかな配慮とユニークなアイディアを提案し続けている。
(ハイアット リージェンシー 箱根 リゾート&スパ 総支配人)
北米を除く世界のハイアットホテル初の女性総支配人として、また、日本女性として初の高級外資系ホテル総支配人として、2006年、現職に就任。 業界のパイオニアとして注目を集め、以来、女性ならではの細やかな配慮とユニークなアイディアを提案し続けている。
ホテル業界で手元が果たす役割について、ハイアット リージェンシー 箱根 リゾート&スパ 総支配人の野口弘子さんに、さらに詳しく伺ってみました。
渡辺:長年ホテル業界に関わっていらして、とりわけ手元が目立つと実感する場面はどのような時ですか?
野口:いちばん目立つのは、やはり食事の場面でしょうね。ですから新人社員には必ず、手元が美しく見えるテーブルマナーを教えます。サービス係としてカトラリーをテーブルにセットする時は、ナイフとフォークの横側を支えるように持ってそっと置くこと。自身が食事をする時は、ナイフ&フォークの中央より手前側を持つこと。てのひらに丸みを作り、力を入れずに軽く握ることなど。
渡辺:手を置く位置と、てのひらの丸みがポイントですね!
野口:男性でも女性でも、きれいに爪がカットされた清潔な指先がしなやかに動く所作は、見ていて気持ちがよいもの。それが食事を楽しく演出するためのマナーのひとつかなと思うのです。
渡辺:野口さんがホテルでサービスを受けた経験のなかに、手に関する思い出はありますか?
野口:学生時代、海外旅行中に熱を出してしまった時の話です。頭を冷やすものを持ってきてくれたホテルの方が手を握って励ましてくれたのですが、その手がとても温かくて、それだけでほっこり癒されました。手の温かさって大事なのだなと、今でも強く心に残っています。
渡辺:手から伝わった優しさで、心細い気持ちがホッとしたのですね。
野口:その例のように実際に手で触れなくても、気持ちとして、常に手を広げてお客様のニーズに応える態勢は、ホスピタリティ業界に欠かせないものだと思っています。若いスタッフによく、「両手をてのひらを上に真横に大きく広げて上げてごらん」と言ってポーズを取らせるのですが、それは、「ようこそいらっしゃいませ(私はあなたを受け入れます)!」とお客様を歓迎する準備体操のようなもの。
私自身、集中してデスクワークをした直後にロビーに出る時に実行しているのですが、これを実践してからだと、お客様をお迎えする言葉がすんなり出てくるのです。不思議ですよね。
渡辺:手や腕が、お客様との心を繋ぐサービスに大事な役目を果たしているというのは、興味深いお話です。
(わたなべ けいこ・美容ジャーナリスト)
80年代半ばより約30年に渡り、美容記事の企画構成や執筆に携わる。化粧品情報に限らず、 美や健康にまつわるさまざまなテーマで幅広く取材を続け、女性誌やweb媒体で情報を発信している。